血液

体重の1/13、7~8%を占める血液。こんにちの血液検査では、ありとあらゆる身体のことが分かります。なぜでしょうか。その理由は、血液の中には酸素、水、栄養、ホルモン、免疫などの、毛細血管を通して身体中のすみずみの細胞まで運ばれる大事なものが含まれているからです。

 

そしてさらにはその先々から老廃物を体外に運び出すことも行なっています。身体の中で最も大事なもののひとつです。その1/3 程を失うと、命を失ってしまうほどです。

 

血液が身体の中でどのくらい大切にされているかというと、例えば血液中のカルシウムが不足します。そうすると血液は骨から必要なカルシウムを取り出して補います。そうすることによって骨が弱くなってしまってもお構いなしです。

 

つまり血液はそれだけ大事、骨よりも優先順位が高いわけです。骨が弱くなり、折れやすくなってしまっても気をつければ良いだけです。

 

最悪の場合でも寝ていれば、身体を支える役目の骨は必要ありません。ところが血管は寝ていて基礎代謝を行うのにも必要です。生命を維持するのに必要不可欠なのです。

 

血液の中の約55%は水分、酸素を運ぶ赤血球は約44%、残りのわずか約1%が白血球(約0,6%)と血小板(約0,3%)です。0,6%の白血球の中には約46%~70%の顆粒球、16%~45%のリンパ球、4~10%の単球が含まれています。

 

血小板は怪我をした時などに血を固める役目であることは知られています。顆粒球は比較的にサイズの大きい細菌などの異物を丸ごと飲み込んでやっつけてくれます。

 

怪我の時に化膿して白っぽい膿が出るのがその姿だそうですが、そこでは免疫は発生しません。つまり例えば食中毒などには免疫のシステムは働きません。そして顆粒球は、人間がストレスを受けても生産されるそうです。

 

リンパ球は、顆粒球が対応できない小さな細胞などの異物をマクロファージから指令されて処理するそうです。そしてその過程でリンパ球は抗原を記憶して免疫が働き、一度かかった病気にはほとんどかからなくなります。

 

顆粒球では膿が出て、リンパ球ではさらさらした透明の液状のものが出るそうなので、タンなどは、リンパ球とウィルスなどが戦った後の両者の死骸のかたまりのようです。

 

ウィルスなどの病気と闘ってくれて、私たちの身体を守ってくれている白血球。でも血液の中にわずか 0,6% しかありません。そのわずかな白血球をいかに有効に使えるかが健康と大きく関係していると思います。

 

それではどうしたら白血球を有効に使えるのでしょうか?いい食事をして善玉菌を増やし、いい運動をして身体中に血液をより多く循環させることが大事ではないでしょうか?

 

「流水腐らず」といいますが、動きのあるところは新鮮に保たれる自然の法則があるようです。アクアリウムの業界では知られていることですが、水槽の水をポンプでまわしていると水がきれいに保たれます。

 

ポンプが故障するなどして、水が回らなくなると水の汚れが始まります。よどみが汚れの原因です。それは水に限らず、人間の組織でも同じ。血液もしかりです。

 

運動をするために身体が作られているのに、その身体を定期的に正しく動かさなければ身体がさびるだけではなくて、血液の循環も滞りがちになります。

 

酸素、水、栄養、ホルモン、免疫などを身体中のすみずみの細胞まで運び、そして逆に老廃物を運び出す血液がちんたらと流れるのと、元気よくサラサラと流れるのでは、どちらが身体に良いでしょうか?

 

ちなみに血液は激しい運動をした後は固まりにくくなります。狩で追い回した獲物(動物)を料理すると美味しいのは、血液がかたまりにくいのもそうですが、筋肉が収縮しなくなっているので、柔らかくて美味しいのです。

 

西洋でも日本でも、貴族や上級武士の間で狩が行事として行われた背景には、こういうこともあったのかもしれません。

 

逆に血液が固まりやすくなるのは、心配したり、神経が興奮している時だそうです。第二次世界大戦中にドイツ軍の空襲を受けて怪我をしたロンドン市民の血液がすぐに固まることが分かったそうです。